木の章 鹿


11 アドヴァイス
  

 この本で説明していく運動は、単なる運動不足解消の「背筋伸ばし体操」などではありません。「気功」の運動であり、またそれが太極拳の動作と共通するものです。

 「気功」 の動作はとてもシンプルに見えますが、実は、見た目ほど簡単ではありません。それは、一般に考えもつかない動きがあるからです。

 それを一言で言えば、「出す・引っ込める」です。この「太極運動」はまさにそれを理解するためのエクササイズなのです。

  例えば、手を持ち上げる、下げるとか、左に動く、右に動くというような、上下左右の動作はわかりやすいのですが、それらを縦・横・高さの三次元の動作であると表現すると、もう一次元別の動作があるのです。つまり、「出す・引っ込める」です。ですから、四次元を考えなければいけません。そしてそれが、「気の運行」なのです。
 
 まず、「ダウン」の形をとってみてください。この形は、水泳で飛び込台に立って、「ヨーイ」のときの形です。蛇が獲物に飛びかかろうと身構えた状態です。それを「気功」では「蓄勁」と呼びます。「気」が体の中心に集められています。
 それに対して「アップ」は「発勁」で、「気」が、腹部から、足の裏に、手の先に、そして頭のてっぺんまで伸び広がっています。

 下の図はそれを抽象的に表現したものです。

 
 
ダウン(蓄) アップ(発)
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